五番関から山上ゲ岳へ

その2

鐘掛岩を迂回し、行者たちの行き交う道を黙々と登る ・・・ あたりは徐々に霊験あらたかな雰囲気になってきました

        でも、道端の可憐なリンドウに心は和みます

やがて<大峰山寺>と、千尋の谷の<西の覗>への分岐に到着しました

左写真は「大峰山寺」の遠景、右写真は「西の覗」の断崖のテッペンです

今日は時間の都合で大峰山寺や山上ゲ岳へは向かわず、断崖をチョコッと覗いて下山する予定になっております

さて、その「西の覗」ですが ・・・
ご覧下さい、これが断崖絶壁の全容です!
この切り立った絶壁の上から身を乗り出して下を眺めるのはかなり勇気がいりそうです

     絶壁はまだまだ下へと続いてますが写真に写りきれません!

分岐から数分で「西の覗き」に到達した我々は背負ったリュックを下ろし
崖の先端へと恐る恐る進みました

先ずは Yamada505 が覗きます (危険な所はいつも彼が一番バッター?)
まるでトカゲが何かを警戒するような格好ですね~!
でも、笑うなかれ ・・・ 岩全体が谷側へ傾いているので身体を水平にしておかないとデングリ返りで一回転して谷へ落ちてしまうような気がします
(身体が反り返っているように見えますが真横から見ると水平です)

「西の覗」は日本三大荒行の一つと、先ほど通過した道の石標にありました
(このページの上から三枚目の写真を参照)

懺悔懺悔六根清浄

罪や穢れを神仏に懺悔し、目、耳、鼻、舌、身、意の六根を清めるの意

命綱を他の行者に託し、眼もくらむ断崖絶壁からの捨身の修行をします
かつては、六文銭(昔は三途の川の渡り賃と云われてました)を口に加えて
この荒行をしたともいわれます

          注 : 下の写真は借り物です (只今、撮影者に掲載許可申請中)

命綱で身を守られているとはいえ千尋の谷へ半身を投げ出す恐怖は経験した者にしか判らないでしょう
万が一は許されません・・・ 命綱に身を託した人も、その命綱を掌中に預かった人も、緊張の時が流れます
あぁ、「ザンゲ ザンゲ ロッコンショウジョー」 (懺悔懺悔六根清浄)

と云う事で、我々も絶壁で肝を十分冷やしたあと、今日の山歩きは、ここで
オシマイにしました ・・・ 

靴のヒモを締めなおして、さぁ、下山!
帰り道は、勿論、楽々の「平成新道」をノンビリ下ります

厳しい修行をする行者達と、我々のような気楽なハイカー
山を歩く目的は全く違うけれど、山を恐れ、山を敬い、山を愛する心は共通するのでは?と、帰り道でふと思いました
途中、振り返ればあの絶壁が午後の陽に照らされて美しく輝いていました

― 参考 ― 
奥駈け道(おくがけどう)とは

大峰山の奥駈け道は、修験道の開祖「役(えん)の行者」が1,300年前に開いたと云われ、奈良県吉野山から和歌山県本宮大社までの連なる峰々を越えること170km にもおよびます
その間、民家は一軒もなく、あるのは山小屋と寺院と神社のみ ・・・

修験者は岩壁をよじ登り、千尋の崖っぷちを歩き、時には2,000m近い山々で修行を重ねていきます
そして、その大自然との格闘の中で、過去を清算し、山頂や岩や樹木や滝などから霊気と生命力を得て本来の人間性を取り戻すよう修行します
そして、古来、「峰の奥駈け」こそが修験道における最高の修行とされ、今に継承されおります

この「大峰・奥駈け道」は、平成16年(2004年)7月7日、日本で12番目のユネスコ世界遺産として登録されました

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