第六日目 ('94. 7. 3) |
大垣から岐阜(岐阜県)へ |
長良川の猛暑!
大垣駅から国道21号線を東に向かえば岐阜駅へは難なく到達できたのに、豊臣秀吉ゆかりの
墨俣(すのまた)の<一夜城>を経由にした為に大変な目に会ってしまった!
午前10時15分 身支度を整え、JR大垣駅前を出発
駅の南口からそのまま南に下り、大垣城を右に見て最初の交差点を左折 ・・・
県道198号線は休日のせいかクルマも少なく人影も殆んど見ない
今日は曇り空だが、雨の気配は無さそうだ!
地方都市特有の退屈な街中を東へと歩くこと約1時間、揖斐川に掛かる<揖斐大橋>
を渡る頃、雲の切れ目から青空が見え始めた
「暑くなってきたなぁ~!」
正午前、墨俣の町に着く頃には気温がグングンと上昇し、真夏のような暑さになった
梅雨の真っ最中とはとても思えない
「つめたいビールでも呑まンとメシが喉を通らんなぁ~!」
今日は道路沿いにメシ屋が無いのを予測して弁当を持参したが、ビールは
冷凍した私のミニ缶(250ml)1本のみで、Nさんは持ってきてなかった
小さな缶ビールを2人で分け合うワケにはいかないので酒屋を探すことにした
このミニ缶が、後刻、<いのちの水>となるのだが・・・それは後述
訊ねる人影もない道を<感>だけを頼りに酒屋を探すこと約20分、やっと酒屋を
見つけ、冷えた缶ビール2本をゲットした
墨俣(すのまた)城で弁当を広げたのは酒屋を出てから5~6分経ってからだった
河畔にどっかと腰をおろし、先ずは乾いた喉にビールを流し込んだ
「あぁ~、美味い!」
ビールが美味いとメシまで美味い!
今日の弁当は愛妻(?)の手作りなので、尚更ウマイ??????
食後にパチリ! 赤い顔はビールのせいか?日焼けのせいか??
墨俣(すのまた)城は永禄9年(1566)織田信長が美濃の斎藤氏を攻める拠点の一つ
として木下籐吉郎(のちの豊臣秀吉)に命じて砦を築かせたことにはじまる
籐吉郎はあらかじめ密かに城地を造成し、長良川の上流で木組みを整えた木材を流し
墨俣で上げると組み立てたので、一夜にして城の建物が出現したのである
かつ伏兵を置いて斎藤勢の反撃を封じたので、拠点が確保された
午後1時過ぎ・・・
腰を上げ、次の目的地<岐阜城>に向かうため長良川の土手に駈け上がった
この川に沿って行けば目指す岐阜城まで道に迷うことは無い
河畔の道は川風も爽やかに快適なウオーキングが楽しめると思ったのだが・・・
しばらく歩く内に、それが大きな間違いである事に気づいた
日陰の無い土手の暑さは凄まじかった
歩道部分だけアスファルトで整備されているのだが、その照り返しの強烈なこと!
おまけに無風だ!!
「暑い!暑い!」を連発しながら、二人とも大汗ダラダラで歩いた
JR東海道本線の鉄橋の下を通過する頃、水筒の水が切れた・・・
これにはチョッと困ったが、その内に土手下の町に自動販売機でもあるだろうと
のんきに歩き続けた
しかし、これも考えが甘かった!
すました顔をしているが喉はカラカラ! 口元が歪んでる? (JR鉄橋付近)
ここは都会ではない・・・
行けども行けども、自動販売機どころか人家すら無かった
もう二人とも喉はカラカラ!
「長良川の水はたっぷり有るので、いよいよの時はそれを呑もう!」
とNさんが云った
「それもそうだ、水はたっぷり有る!」と私は単純に納得?
だが、このあたりは土手が高く急勾配なので本流れまで容易に行けそうにない
たとえ、運よく河原にたどり着けたとしても、街の中を流れてきた川の水なんか
飲んだら腹ピーピ-になること間違い無しや!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
炎天下を無言で歩き続けるうち、土手下に集落が現れ、幸運にもドリンクの
自動販売機が目に入った
「有ったぞ! 自動販売機や!」
云うや否や、Nさんは転げ落ちるようにして土手を駆け下っていった
集落側の斜面は緩やかだが、歳も歳なので(?)転ばないかと気が気でない
<砂漠にオアシス><地獄にホトケ>
期待に胸ふくらませて土手の上で待つ私の目に入ったのは・・・
Nさんが自販機におカネを入れる様子もなく、トボトボと戻ってくる来る姿だった
「アカン! 自動販売機が・・・」と云ったままNさんは土手の上にヘタリ込んだ
何たるコッチャ! 自販機は故障していたのだ!
万事休す!
失望の余り、乾いた喉が、一層、乾いていくのを覚えた
こうなれば、いよいよ川の水を飲むしかない・・・
だが、その時、私は持参したミニの缶ビールを飲まずにいたことを思い出した
リュックの底からひっぱり出した冷凍缶ビールは、もうナマ温かくなっていたが
二人で少しづつ分け合って喉を潤した
ぬくいビールは何とも複雑な味がしたが、それでも喉の渇きは幾分おさまった
少し元気になったところで我々は再び歩き始める
直射日光を避けるためタオルを頭から垂らし、その上から帽子を被った
そして、それから、どれほど歩いただろうか・・・
川の向こうに岐阜城のそび建つ金華山が近づくにつれ、あたりはようやく市内
らしい賑わいとなった
やがて、川幅が広くなり土手も低くなる頃、前方に又もや自動販売機が見えた
また故障しているかも知れないので、期待は半分だけにしてオアシスへと急ぐ・・・
5分とかからない内に自販機の前に立った
かすかにブーンというモーターの音が聞こえる。 今度は大丈夫のようだ
おカネを投入口に放り込み・・・スポーツドリンクのボタンを押す
ガチャ~ン 何と小気味の良い音 !!
「よっしゃ~! 出てきたぁ!」
取り出し口からボトルを取り出し、キャップをひねり、天を仰ぐようにして冷たい
液体を一気に口中に流し込んだ。
「あぁ~あ、何たる美味!!」 気が遠くなるほどウマイ!!
喉を素通りした冷たい液体は五臓六腑へ沁み込んで行く ・・・
ホントにホントに身体中に沁みこんで行く!!!
熱中症寸前の我々だったが、いのちの水と暫しの休息で再び生気を取り戻した
「さぁ、行こう!」
元気は出たが相変らず暑い!
やがて、<忠節橋>を渡る名鉄電車が見える頃、ちらほらと人の姿が目に入った
墨俣を出発して以後、人っ子一人出会わなかったので人影が妙に懐かしく、知ら
ない人ばかりなのに何故か安らぎを覚えた
Nさんと名鉄岐阜市内線(2005年4月に廃線)
<忠節橋>から15分ほど上流に歩いて<金華橋>まで来た時、橋の下で子供達
が川遊びをしているのが見えた
「わぁ~、気持ち良さそうやなぁ~!」
と、云うが早いか、我々は、もうわき目もふらず流れに向かっていた
服を着たまま川に飛び込みたかったが、心臓マヒでも起こしたらお陀仏だ!
それに、この川は遊泳禁止かも知れない
とりあえず靴を脱ぎ、ズボンをたくし上げて膝まで流れに浸した
冷気が足元から脳天までまっしぐらに登って行き、汗はみるみる引き始めた
「あぁ~、気持ちイイ!! 極楽、極楽!」
ひと息いれたところでスッポンポン(?)になり身体中に付いた汗の塩を拭き取った
往来するクルマの中から見られているのは承知の上で ・・・・
着替えを済ませホッとする間もなく我々は出発の準備を始めた
4時を少し回っていたので急がねばならない!
6時6分発の急行<高山>で大阪へ戻る予定だが、間にあうだろうか?
ここより更に上流の<長良橋>を渡り<岐阜城>を見学する計画だったが<、もう
その余裕はない
仕方なく、駅へはこの<金華橋>を渡り3~4kmをショートカットすることにした
そして、あの有名な<柳ゲ瀬>も素通りして、ひたすら岐阜駅へと向かう事となった
午後5時20分、やっと岐阜駅に到着
急いだので二人ともまたまた汗びっしょり!
「とりあえず、ビールや!」 もう欲も得も無い、只々、ビールが飲みたい
駅前のメシ屋だか飲み屋だか判らない店に飛び込み、ビールを一気に流し込んだ
その美味かったこと! もう言葉ではとても言い表せない・・・
「今日は38度もあり、岐阜では記録的な暑さだったようです」と女将さんが云った
ゲェ! 38度も!
ほんなら、あのアスファルトの土手の上は、いったい何度になっていたのだろう???
今日の行程 | (歩数) 35,878歩 | (距離) 27km |
交通費 | (往路) 近鉄山本駅~JR大垣駅 3,620円 急行券 930円を含む | (帰路) JR岐阜駅~近鉄山本駅 4,290円 急行券 1030円を含む |
飲食、その他 | 缶ビール 230円(愛妻弁当持参) ポカリ 110円 ビール付き出し 550円 | (合計) 890円 |
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